帝国データバンク、「TDB景気動向調査(全国)-2025年7月調査-」を公表

帝国データバンクは、全国 26,196 社を対象とした 2025 年 7 月の国内景気動向を調査・集計し、景気 DI ※ として発表した。 7 月の景気 DI は、前月比 0.1 ポイント増の 42.8 となり、小幅ながら 2 ヶ月連続で改善した。国内景気は、個人消費には依然弱さが残るものの、自動車を中心とした製造業の生産回復がけん引し、わずかだが上向き傾向が続いた。
7 月は、日米間で関税交渉の合意が発表され、自動車関連の生産回復が好材料となった。猛暑による夏物衣料や空調設備工事の特需のほか、都市部での再開発事業もプラス材料だった。公共工事の継続発注で建設が上向き、中小企業の景況感が上向いた。一方で、宿泊業など個人向けサービスが下押ししたほか、自然災害にともなう交通網の混乱などは一部地域で悪材料となった。
業界別では、 10 業界中、「建設」など 4 業界で改善、「農・林・水産」など 5 業界で悪化、「サービス」は横ばいだった。ものづくり関連の業種を中心に景気を押し上げた。また、日米間でトランプ関税の交渉合意を受け、先行きに対する不透明感がやや和らいだ。他方、連日の猛暑は外出控えや工期遅れ、畜産、農作物への悪影響を引き起こした。さらに、物価の高止まりや人手不足なども悪材料だった。「サービス」のうち、「旅館・ホテル」 (49.6 = 2.1 ポイント減 ) は、猛暑による利用者の減少や消費者の節約志向の高まりなどで大きく落ち込み、 2 年 5 ヶ月ぶりに 50 を下回った。
地域別では、 10 地域中、「北関東」「東海」など 7 地域が改善、「北海道」など 3 地域が悪化した。都道府県別では 29 都県で改善、 16 道府県で悪化。観光需要や地域特有の建設需要の増加が寄与した一方で、「北海道」などでは干ばつ・高温が「農・林・水産」を直撃した。
トランプ関税に関する日米間の合意により、不確実性がやや和らいだ。今後は、実質賃金の上昇や手取り収入を巡る政策対応などによる個人消費の動向が焦点となろう。 AI 関連の設備投資や訪日旅行客の増加は景気を下支えする。他方、米国の関税措置は自動車関連の引き下げ時期や輸出業界への影響が注視されるほか、人手不足や物価高は引き続き景気の重しとなる。国内景気は、懸念材料を抱えつつも不確実性が後退し、横ばい傾向で推移すると見込まれる。
※景気 DI は、 50 を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、 50 が判断の分かれ目となる。
記事配信・制作協力/外食ドットビズ
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